非正規で働くということ⑦~消息不明のAさん~

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消息不明のAさんの話

 

出会いはピッキングのお仕事

非正規流浪の民時代、

一番長く働いたのがピッキング業。

無心にオーダーを裁くのが、

なんともゲーム感覚で面白かった。

体力があったからできた仕事だけれど。

 

そんな基本コミュニケーションを必要としない、

業種だけに、

働いている人たちも、

コミュニケーションが至極苦手。

とりあえず新人にすることは、

  • 睨む
  • 陰口をする
  • ピッキングの邪魔をする

この3点につきる。

 

非正規にもいろいろある。

ここにたどり着くまでに、

ヒツジはすでに下記の仕事を経験した。

  • メーカーでの営業事務
  • 百貨店での販売業
  • カルチャーセンター受付
  • 高齢者向けパソコン講師

人間関係でとにかく疲れ、

人ではなく物を相手に仕事がしたかった。

だから、ピッキング業を選んだ。

 

新人への洗礼は、

勿論ヒツジにも向けられた。

が、

あんまり気にはならなかった。

器用貧乏で生き抜いてきたから、

邪魔されても、

数日で仕事は覚えた。

端末も、

Windowsがベースだったので、

データ操作もすぐにできた。

英語が読めたことと、

海外で調理を学んだので、

輸入品の種類・消費期限などの知識も、

豊富だった。

 

数時間に1度休憩時間がある。

それ以外は常に体を動かしているわけだが、

その休憩時間が邪魔で仕方がない。

みんなでお菓子を持ち寄ったり、

手作りの何かを持ち寄ったり、

それがめんどくさかった。

だから、

倉庫の片隅でいつも本を読んでいた。

Aさんは、

そんなヒツジに声をかけた

最初の人だった。

 

最初に声をかけてくれた人

Aさんはとにかく優しい人だった。

新人が入ってくるたびに、

声をかけて食事を一緒にしたり、

お菓子をあげたりしていた。

しかしAさんは仕事ができなかった。

多分向いていなかったのだろう。

力はないし、行動が遅い。

ピッキングを早くしようと思ったら、

人より早く動くしかないのだが、

Aさんは優しさからか道を譲ってしまう。

結果仕事が遅くなる。

 

ピッキング業の朝は早い。

ヒツジはいつもバイクで通勤していた。

始業が朝の6時頃だったと思う。

Aさんは免許がない上に、

自転車にも乗れない。

自宅から駅まで徒歩で20分。

電車にゆられること15分。

最寄り駅から職場まで徒歩で30分。

 

Aさんが話してくれたのは、

近所でパン工場のパートをしていたが、

いじめにあって辞めたとのこと。

非正規界隈では、

この有名な〇〇パン工場は、

劣悪な人間関係で通っている。

 

だからと言って、

他に働くところがあろうに…

と思っていたが、

半年もしないうちに理由がわかった。

息子がひきこもっていて、

体裁的に近所はいやだったらしい。

そして去っていった

Aさんは離婚したばかりの60代前半。

モラハラの旦那から命化からがら逃げ、

息子さんと今の団地へ引っ越したらしい。

息子さんはとうに成人しており、

慰謝料もない。

Aさん一人の収入で生きていかなければならない。

当時の自給は基本で980円。

ヒツジは能力給と特別給があり1260円。

フルタイムで働けていたので、

収入は結構あった。

時給980円のAさんはどうだかわからない。

能力給の試験ではいつも落ちていたから。

 

非正規の世界は結構厳しい。

病気になれば収入は止まる。

コロナになればシフトは減る。
当時コロナはなかったけれど…

貧乏同士いがみ合いは続く。

人が好いAさんは、

成績は悪くてもシフトが減ることはなかった。

それをよく思わないパートは多かった。

そして上司に文句を言いにいった。

それを知ったAさんは落ち込んだ。

そして翌日から来なくなった。

連絡すらつかない消息不明となった。

Aさんを「可哀そうだ」と、

まとめてしまえばことは簡単だ。

でも、

普通自動車免許もなく、

自転車にも乗れず、

職歴もわずかで、

家族をささえていかなえればならないのなら、

やはりどこかでふんばらないといけない。

不幸な境遇の同僚は山ほどいる。

ピッキング業で働いていた会社は、

ヒツジは一番働きやすかった。

体力は別として、

非正規にもしっかり社会保障があったし、

収入も悪くない。

朝早い仕事だから、

終わってからWワークもできた。

時々会社から、

食料の支給もあった。

社員割引で購入することもできた。

有休休暇も普通に消化できた。

そんな状況の職場で、

自分の家族のために、

踏ん張れないのであれば、

Aさんはどこへ行っても働けない。

Aさんが自分から去っても、

1週間もそれば別の人がその仕事をするだけだ。

 

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