流通業(ピッキング)Kくん 25歳(当時)
ヒツジが一番長く働いた現場である。
仕事はがっつり肉体労働。
万歩計をつけると平気で2万歩を超えた。
会社から支給される軍手は1週間も持たずに穴が開き、
夏にはTシャツをしぼれば汗がしたたり落ちる現場。
そんな仕事に集まってくる人々と言うと…
- 家に居場所がない老人(男性)
- フィットネスを兼ねて働く主婦
- 何の資格もない若者
- 免許停止になった運転手
- 前科のある方々
などなどバラエティにとんでいる。
いちばん害のあるのが1番目。
長年働いた会社を定年退職。
しかし嘱託の声もかからず、
「どうぞどうぞ」と追い出された感じ。
家にいれば奥様に煙たがられ、
ピッキングの仕事では体力がついてこず。
ハンドリフトさえ扱えず、
休憩時間は「わしは元〇〇の仕事で…」と、
つつらつつらと話し続ける。
気づこうかMr.。
誰もあなたの話なんて聞いちゃいねぇ。
どうでもいいからハンドリフトくらい使ってくださいな。
逆に5番の方は一緒にいて実は楽しい。
どこかで道をはずれてしまったがためにお縄になっただけ。
人生について苦労もしてるし、
肉体労働にも慣れてらっしゃる。
時折切れて喧嘩っぱやいのは面倒だけれど、
自分の味方につけていれば心強いことこの上なし。
ある意味社員よりも色々な効力を発揮する。
2番については正直うらやましかったかも。
2万歩あるいて力仕事こなしたならば、
太るわけもなく。
腰痛さえなければ、健康体そのもの。
まぁ99%腰痛になるけどな💦
とにもかくにもスポーツクラブ要らずでね、
おまけにお金もゲットしてくる奥様。
素敵の他に言葉がみつからない。
たまたまだと思われるが、
ヒツジが働いていたその現場は、
男より女の方が仕事も早く的確だった。
ヒツジも20Kgくらいの荷物なら一人で積み荷するし、
端末操作からコンテナの整理までなんでもした。
しかしK君だけは違った。
若いので仕事も早くハンドリフトなどもうまい。
端末もヒツジ同様操作するし、
何よりもミスの少ない男だった。
基本的には無口な男だ。
自分の自慢以外は…。
そうK君は自意識過剰男。
とは言えその職場で使える男性はK君くらい。
自意識過剰は仕事には無関係。
ほぼほぼ問題はなかった。
ところが事件は彼が勤続2年目くらいにおきた。
社員に何かを注意されたとたん切れた。
もう完全なる子どものように。
K君は正社員として働いたことがない。
働いたことがないまま非正規として25歳になっていた。
明らかに社会経験が少ない。
非正規には見えない正社員の仕事の深さはある。
正社員も非正規も同じくらいの期間経験するヒツジは、
同一労働なのに同一賃金じゃないのはおかしい!
という主張は時に疑問に感じる。
同一労働であってもその労働以外の責任や、
準備改善などをしているのは社員だ。
その報酬が賞与であり昇給だと思う。
K君はそのフレーズを言い始めた。
「同一労働してんのにおかしだろ」と。
その時の社員はかなり頭の回る男だったので、
じゃぁK君社員になってみるか?と声をかけた。
彼は結局社員にはならなかった。
彼曰くプライドが傷ついたとのこと。
ヒツジは思う。
K君は逃げたと。
K君は非正規雇用としては使える男だった。
しかし挨拶はできない、謝罪もできない。
後輩の指導もできなければ、自分以外の責任をとろうとしない。
非正規レベルの「できる男」は、
正社員レベルの「できる男」にはなれない。
本気で非正規雇用で生きていこうと思っていた。
仕事なんてどうにでもなると思っていた。
フォークの資格も大型特殊免許あったし、
正社員に戻って精神的に追い込まれるくらいなら、
非正規雇用として時間通り働いて時給もらって、
気楽に生きて行こうと思っていた。
そんな時代もあったよね(笑)
ひつじ のROOM - 欲しい! に出会える。 (rakuten.co.jp)
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